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肩関節の骨解剖学と運動学 

目次

 

 

 

肩関節の概要

肩複合体:上腕骨、肩甲骨、鎖骨、胸骨、肋骨

これらが肩関節を形成している

 

前額面における上腕骨体と上腕骨頭の角度・・・135°

遠位上腕骨に対する上腕骨頭の後捻…30°

 

肩甲骨の位置

肩甲骨2-6rib

前傾10度内旋30°上方回旋5-10度(肩甲面)

 

複合体4つの関節

胸鎖関節・・・

鎖骨は胸骨への付着を介して、肩甲骨を体幹から相対的に一定距離に保つ、支柱の役割。安定性と運動性。関節面鞍関節凸面凹面。前後胸鎖靭帯、肋鎖靭帯、鎖骨間靭帯。関節円板が存在し衝撃吸収の役割を担う。関節自体に安定性があるため、外力が加わると脱臼でなく鎖骨骨折をきたす

鎖骨自由度3

挙上45°下制10度前方20°後方20度後方回旋20-35° 

肩鎖関節・・・

関連靭帯が堅固に鎖骨肩甲骨を繋げている。

烏口鎖骨靭帯(菱形靭帯、円錐靭帯)、上下肩鎖関節包靭帯、関節円板(存在?10%、不完全、破壊)、僧帽筋三角筋

 

平面関節自由度3度上下方回旋、内外旋(内旋・・・内側浮き上がり)、前後傾

肩甲胸郭関節の補助

 

肩甲胸郭関節・・・

2つの骨の接触。複合体で最大可動性。土台の役割

挙上下制、前方突出後退、上方回旋下方回旋。胸鎖関節→肩鎖関節の働きによる。

上方回旋肩屈曲外転の1/3を占める

①上肢リーチを提供するための構造的基礎

三角筋中部や棘上筋外転筋群最適な筋の長さ緊張関係の提供

③肩峰と上腕骨頭の間の空間の保持(インピンジメントの予防)

 

肩甲上腕関節・・・

肩甲骨と上腕骨 骨頭は関節窩に対し1/3の被覆率

関節面は肩甲骨に対し前外側上方面

関節包に包まれ、内側は滑膜。外側は靭帯、回旋腱板筋が存在する。

 

関連する靭帯

肩甲上腕関節包靭帯(関節上腕靭帯;以下同様)

前関節包靭帯:上腕二頭筋腱長頭付近(関節上結節)~解剖頚前面→内転時に弛緩

中関節包靭帯:関節窩の上、中部から肩甲下筋と一緒になり解剖頚前面→前方並進、外旋

後関節包靭帯:3つに区分される→外転外旋

○ 前部繊維束・・・もっとも強力で分厚い。  前方並進 脱臼防止

○後部繊維束・・・完全内旋

腋窩陥凹・・・スリングの役割  肩外転90°完全外旋

 

烏口上腕靭帯:烏口突起外側縁から大結節に位置する。内転、下方並進と外旋に対する抑止力の役割。

回旋腱板:別途詳細 棘上筋と肩甲下筋の間。腱板間隙部…安定性低下、脱臼

上腕二頭筋長頭腱:前方、上方抑止

関節唇:関節窩の深さの50%を占めている。

 

 

肩甲骨の上方回旋の役割

→肩甲上腕関節の静的安定性へつながる

上関節包構造による上腕骨頭への靭帯性支持のベクトルと重力のベクトルの合力として、肩甲骨の関節窩への圧迫力を生じさせている。

そのため、何らかの不良姿勢により上方回旋が不足すると、少ない圧迫力となり、慢性化により、上関節包構造の破綻、下方脱臼へとつながってしまう。

 

烏口肩峰アーチ

烏口上腕靭帯(烏口突起の外側と肩峰の前縁)、肩峰

肩甲上腕関節との空間・・・肩峰下空間;1㎝⇒棘上筋腱、上腕二頭筋腱長頭、関節包、肩峰下滑液包が存在する。

 

滑液包…摩擦が発生する部位に存在

肩峰下滑液包;棘上筋腱と肩峰の間

三角筋下滑液包;三角筋と棘上筋及び上腕骨の間

 

 

運動学

肩甲上腕関節…自由度3

屈曲伸展、内転外転、内旋外旋+水平屈曲伸展

 

内転と外転

外転…関節包内運動;凸状の上腕骨頭の上方への転がりと下方への滑り(内転は逆)

 

関節包下部(腋窩陥凹)の硬さや容積減少…下方への滑りと上方並進の相殺システムが崩れ、下方へ滑りにくくなり、肩峰に骨頭がぶつかり、インピンジメントとなる。慢性化により肩峰下インピンジメント症候群となる。

 

屈曲と伸展

スピン運動;周囲の関節包関連構造物を緊張させる

内旋と外旋

外旋…後方へ転がると同時に前方へ滑る

 

肩関節外転における6つの運動学的原則

1.肩甲上腕リズム2:1(GH:肩甲胸郭jt)

2.肩甲骨60°の上方回旋はSC関節の挙上、AC関節の上方回旋の結果

3.SC関節での鎖骨の後退

4.肩甲骨の後退と外旋

5.鎖骨の長軸周りの後方回旋

6.GH関節の外旋

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。