仙腸関節の運動学
仙腸関節
動きが触ってもわからないことが多かったり、実際何が関係しているのかあいまいなことが多いかもしれない。臨床でも必要な知識なのでしっかり覚えましょう!
どこにあるの?
骨盤輪を構成している
骨盤輪…仙骨、仙腸関節、左右の半側骨盤(腸骨、坐骨、寛骨)、恥骨結合
要石
○関節構造
・PSISの直前に位置する
・仙骨の耳状面→ブーメラン様の半円で凹面が後方
・小児期は滑膜性、可動性関節
・思春期~青年期には癒合関節となり、関節面も粗さがみられるようになる
→加齢とともに靭帯や硝子軟骨の骨化がみられる(男>女)
○靭帯
・前仙腸靭帯…関節包の前下方が肥厚し、腸腰靭帯と共に前方を補強
・腸腰靭帯
・骨間靭帯…後縁と上縁の隙間を埋め尽くす。「骨間領域」
・長、短後仙腸靭帯…短:広いが比較的薄く、仙骨の外側面に起始し、上方から外側へ走行し骨間靭帯とともに腸骨へ停止する。
長:3,4仙骨に起始し、仙結節靭帯とともにPSISへ停止する
副次的靭帯
・仙結節靭帯…PSIS、仙骨外側、尾骨から坐骨結節へ
外側ハムストリングスの起始も坐骨=緊張の伝達
・仙棘靭帯…仙骨及び尾骨の外側から仙結節靭帯の深層を通り、坐骨棘停止する
○神経支配
・感覚神経支配→疼痛+
・L5-S2神経根領域と文献にも多く示されているがL4-S2前枝とも記される
○腸腰筋膜…力学的安定
・前層、中層、後層の3層
・前、中層…腰方形筋を覆う
内側は腰椎横突起、下方で腸骨稜に付着する
・後層…脊柱起立筋と広背筋の後面を覆う
腰椎、仙骨の棘突起かあらPSISへ付着。更に大殿筋、広背筋の付着領域によって強化される。
後層と中層は合流し、側縫線を形成する→腹横筋、内腹斜筋と合流する
運動学
回転、並進運動(1~4°、1~2mm)
「前屈(うなずき)運動」(nutation):腸骨に対する仙骨底部の前傾
「後屈(起き上がり)運動」(counternutation):腸骨に対する仙骨底部の後傾
機能的考察
- 骨盤輪が受ける荷重応力を軽減するメカニズム
- 体軸骨格と下肢との間の負荷を伝達させる安定的手段
○荷重応力軽減
歩行やランニング、出産時など
歩行
IC時対側の足趾は地面から離れていない
→股関節筋と靭帯の張力によって左右腸骨稜に反対方向のねじれモーメントが発生
→歩行速度増大に伴い、骨盤内のねじれが大きくなる
→輪構造より分散できる(恥骨結合も同様の働き)
出産
→可動性向上し、特に前屈可動性向上
→仙腸関節痛出現
○負荷移動中の安定:仙腸関節における前屈トルク発生力学
仙腸関節の前屈運動
→圧迫力、剪断力の向上=安定性向上=不動の肢位
・前屈トルクを生む力
l 重力
l 伸張した靭帯
l 筋活動
重力
1.体重による下向きの力
2.大腿骨頭と寛骨臼による上向きの圧迫力
→モーメントアームにより1.仙骨を前傾、2.腸骨を後傾させる
靭帯
・前屈トルクにより仙結節靭帯、骨間靭帯伸張
→張力高まることで関節面の安定を図る
筋活動
脊柱起立筋群、多裂筋群、腹筋群、広背筋、腸骨筋、梨状筋
→仙結節靭帯、胸腰筋膜、などに付着
筋収縮により、、、
1.関節面に対し自動的圧迫力
2.前屈トルク↑
3.仙腸関節を補強できる結合組織を引き寄せる
4.これらが同時に作用し安定化を図る
文献にもよりますが慢性腰痛の原因の20%が仙腸関節痛であるなどの報告もあるため、上記メカニズムを把握し、アプローチの一助になればと思います!
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