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脳卒中後の回復メカニズム①

 

脳卒中患者に対する課題指向型トレーニング

脳卒中患者に対する課題指向型トレーニング

 

 

 

脳卒中後の回復とは

 

・神経学的回復(impairment)・・・自然回復、脳の修復、再組織化を反映する。

・機能的回復(activity limitation)・・・ADL、セルフケアの関与。リハビリ職として質、量が問われる。また、必ずしもimpairmentの回復は必要なく、補助具や環境設定において機能的回復を促す。

また、発症前に戻ることを回復、異なる状態を代償とする。リハビリとしては、impairmentの回復を促すが、この代償的手段の検討をする必要がある。

 

回復の時間的研究

JorgensenらのCopenhagen Storoke Study

 

impairmentの回復 95%が11週間以内に最善の回復に至る

(軽症6週 中等度10週 重症11週以内)

 

activity limitation 95%が12.5週以内に

(軽症5週 中等度9週 重症16週以内)

 

2週間のギャップがそんざいする。

⇒回復にimpairment を使用しながらADL向上を図っている。

 

神経学的回復のメカニズム

その大部分が3か月から6か月以内で起こることが一般的な解釈とされている。

以下にその要因を挙げていく。

 

①脳浮腫からの回復

損傷部周囲の組織、神経細胞を圧迫しその連絡を遮断している。最大で8週ほど継続する可能性があるが、ほとんどが発症初期で終了する。

梗塞<出血 で浮腫の影響が強い

 

②虚血性ペナンブラの改善

虚血中心部が真の病巣となり、そこが最終的には脳梗塞部位となるが、周囲の中等度以下の血流領域となっている部分をペナンブラという。

この部位は脳梗塞のリスクがあるが、血流の再灌流により臨床的な回復につながる。

 

③機能乖離(diaschisis:ディアスキシス)

損傷部と連絡があるが離れた遠隔領域の機能障害が起こること

例)視床損傷

頭頂葉と連絡しているため、頭頂葉障害(半側無視など)がみられることあるが、自然回復することが多い。

 

④脳の可塑性、再組織化

可塑性・・・弾性限界を超える外力によって生じた変形が外力を除いてもゆがみとして残る性質

脳・神経の可塑性

神経細胞樹状突起シナプス、伝達物質などが関与

・年齢と環境と関係アリ

シナプス伝達効率化として捉えることができる。

 

 
神経可塑性における3つの概念

脳の再組織化は長期間継続的に認めることができる特徴があり、リハビリテーションの影響を大きく受ける過程と解釈できる。

Nudoらは(2003)動物実験に基づき運動学習中に起こる脳の変化を示し、それはシナプス形成やシナプス結合の強さに関係することを述べた。

以下に3つの概念を示す

1)正常脳におけるスキル化した運動の習得は、運動皮質内での予測できる機能的変化に関係すること

2)脳卒中後の運動皮質の損傷は、残存皮質内の機能的変化の結果となる

3)脳卒中後、上記の(1)、(2)が相互に関連してスキルの獲得と皮質再組織化を引き起こす