脳卒中後の回復メカニズム②
シナプスレベルでの可塑的変化
①ヘッブのシナプス可塑性モデル
同時に活動する場合はシナプス強度が増強し、
片方のみの活動の場合は弱化するというモデル。
⇒使用頻度の高い神経ネットワークを活性化し使用されていないネットワークを弱めている。
〇学習、記憶に関与している。
②長期増強と長期抑圧(long-term potentiation;LTP long-term depression;LTD)
①の基礎となる。
興奮性入力を高頻度、短時間刺激すると、その後高頻度入力を受けたシナプス伝達効率が明らかに向上する。その状態が長期持続する現象のことをLTPという。
(海馬の研究に多い。)
↳ウサギの海馬の貫通路軸索に低頻度電気刺激を与え、興奮性シナプス後電位(excitatory post synaptic potential:EPSP)を誘発する。その後、テタヌス電気刺激を加えることで再び低頻度刺激に戻してもEPSP振幅増大が長期化する。
小脳では、プルキンエ線維は小脳皮質からの唯一の出力ニューロンとなり、平行線維、登上線維の2つから入力されている。
平行線維、登上線維からの刺激が組み合わさり、反復されるとEPSPの振幅が減少する
=LTD
③神経細胞の構造的変化
学習や経験に応じた長期的変化→形態学的構造変化を生じる。
ラットにおける代表的な学習依存性の変化
・運動皮質に樹状突起の分枝拡大
・樹状突起のスパイン密度の増加
・有孔シナプスの増加
・多重シナプス終末の増加
kleim らはラットに普段行わないようなアクロバティックな運動を1日に3回、5-10日間行わせるだけで、大脳運動皮質のシナプス数増加すると報告している。
④homeostatic plastcity
ニューロンの発火頻度増加すると興奮性シナプス入力が減少し、反対に過剰に発火頻度が低下すると興奮性シナプス入力が増加するというメカニズム。
これで、恒常性を保っているという考え方。