脳卒中後の回復メカニズム③
中枢神経損傷後の回復機序
中枢神経損傷には2種類存在し、
・神経細胞死→細胞そのもの
・神経ネットワーク損傷→神経回路の損傷で、重度の場合、複数の神経学的障害が現れる
回復過程としては①アンマスキング ②発芽形成(Sprouting)がある。
①アンマスキング(unmasking)
普段は主要なネットワークに隠れているが、損傷すると顕在化し、経路となって表れる。
例)非交叉性皮質脊髄路の動員
交叉70~90%
同側10~30%
通常は対側半球支配だが、神経損傷が起きると同側支配となる。
Wardらは
CVA後の患者に対して把握練習を行うと、両側領野活動がみられる。
→回復後対側に戻る。
⇒アンマスキング不要となり、対側半球支配へ戻ることが示唆される。
②発芽形成
メカニズムとして不明な点が多いが、末端突起を伸ばしていく。
その要因として2つ挙げられる
①脳由来神経栄養因子(brain derived neurotrophic factor;BDNF)
②神経成長因子(nerve growth factor;NGF)
突起を伸ばすのには誘導が必要
→グリア細胞=神経幹細胞から分化しニューロンの支持をしている。ニューロンの10倍の数存在している。
・アストロサイト(最大。ニューロンの化学物質を運ぶ)
・オリゴデンドロサイト(軸索に巻き付きミエリン鞘となる。)
ニューロンが損傷すると
1.ミクログリアの食作用
2.同時にサイトカインを放出しながら、それが引き金となりアストロサイトによるグリア化が起きる。
3.このとき、アストロサイトはBDNFを放出する。神経修復にとって有利な環境を形成しニューロンの発芽を促進する。