体幹運動学 ②-1胸部、腰部
前回の続きになります!
今回は、胸部、腰部の簡単な解剖学と運動学についてです
胸部
左右に椎間関節が12個ずつ、計24個あり、関節面はおよそ、前額面に対し15-25°前傾している。
肋椎関節
・肋骨頭を上、下肋骨窩と隣接する椎間板の縁に結合する
・放射状肋骨頭靭帯、関節包靭帯によって安定化
肋横突靭帯
・肋骨結節関節部をその肋骨が対応する胸椎横突起に尖端の横突肋骨窩が結合する
・関節包靭帯と上肋横突靭帯によって安定化
○屈伸
屈曲…30-40° 制限因子:後方組織の緊張
伸展…20-25° 制限因子:前縦靭帯、椎弓板間や棘突起間のインピンジメント
関節包内運動
・C2-7とほぼ同じ
・上位が下位に対し上方やや前方に滑る
○回旋
左右30-35°→体軸回旋
・1つ1つがわずかに滑る(腰部に近づくほど回旋は減少する=関節面が矢状面に近づく)
○側屈
左右25-30°
・側屈する方向に対し、対側の関節面は上へ、同側の関節面は下へ滑る
・相対的に対側肋骨は上、同側肋骨は下へ移動する。
腰部
解剖
L1-4…関節面は矢状面に対し外側へおよそ25°傾斜している→回旋はわずか、1椎体当たり1°程
L5-S1…関節面は前額面に近い
腰椎前弯増加に伴い角度の増大みられる→剪断力の増大
こうならないように・・・
- 前縦靭帯
- 腸腰靭帯(L4-5横突起⇔仙骨外側、腸骨に付着)
- 骨性の安定性
これらの機構により安定化を得ている
破綻すると脊椎前方すべり症へ
矢状面の運動
○屈曲…40-50°
Ex)L2-3
・L2下関節面はL3上関節面に対して上、やや前方へ滑る
→体重による圧迫力(腰椎は全体の20%を負担している)が椎間関節から、椎間板や椎体へ移行する
→後方の靭帯や椎間関節包の伸張
→椎間関節にかかる力が減少する。関節面の接触面も減少するが、単位面積当たりの圧力が大きくなる
→椎間関節の損傷へ
・椎間孔の直径が19%up
→ずっと曲げていればいいの?
→×
椎間板前部の負担大、髄核が後方へ変位
○伸展…15-20°
→伸展していくと生理的前弯が増強する
L2下関節面はL3上関節面に対し下、やや後方へ滑る
・最大伸展位では、関節面を超えて滑っていく
→椎間関節などへの負担大、棘間靭帯の圧迫による腰背部痛+
・椎間孔の直径は伸展位で11%down
・伸展位では
→髄核を前方に変位し、後方への可動性低下する可能性が高い
・長時間伸展位でいると、椎間板内の圧力が低下し一部では、変形した髄核物質と神経組織の間の接触圧が軽減する=「中枢化」と呼ぶ
→疼痛や感覚障害が背下部へ移動したことを示唆する。
→神経根の圧迫などの患者さんに対してマッケンジー体操(McKenzie)の指導
持続的な自動-他動伸展を行い、椎間板の後方、後側方への脱出を軽減させる
○回旋…5-7°
・右へ回旋…左の関節面は近接(圧迫)する。右の関節面は離開する
・関節面は矢状面に近い
○側屈…約20°
・胸部とほぼ同様
・横突間靭帯による制限がある
腰椎伸展位の中枢化のはなしがいまいち腑に落ちない。。結局どうなるの?っていう
マッケンジー体操、ウィリアムズ体操は簡単な論理的にはそうだろうけど、腰部疾患の患者さんにいきなりやってもらうのはリスキーだから、ちゃんと学んだことを生かして評価してから実施していこう。
次回は腰部屈伸に関連した「腰椎骨盤リズムについて」をまとめていきます
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