体幹運動学 ① 頚部
運動学①
頭頚部の構造
・環椎後頭関節
・環軸関節
・頚部椎間関節(C2-7)
関節の解剖学
○環椎後頭関節
・環椎の上関節面の凹、後頭骨の後頭窩の凸面で形成される。関節包が前・後環椎後頭膜へ入り込む形をとる。
・椎骨動脈は後環軸後頭膜を貫いて大後頭孔へ入る
・自由度2…屈伸とわずかな側屈
○環軸関節複合体
・正中環軸関節と外側環軸関節
正中環軸関節
・環椎の前弓と横靭帯で形成される環を歯突起が貫通することで形成。
・車軸関節
・歯突起の前後に滑膜腔が存在
・黄靭帯が環椎の前方滑りを阻止
外側環軸関節
・水平面での関節形成。回旋
・自由度2…屈伸と回旋
蓋膜
・横靭帯のすぐ後方にあり、後縦靭帯の続きの部分→総合的な安定性に寄与しているか。
翼状靭帯
・長さ1㎝、鉛筆くらいの太さ
・歯突起から後頭窩内側へ付着し、歯突起に対する頭部、環椎の制動を行う。
・中立位(頭頚部35°伸展位)では緩むが、回旋時の反対側は緊張する。
矢状面運動
○屈曲、伸展
骨運動
・約30-35°伸展位が中立安静位(頚部前弯)=不動の肢位
⇔屈曲位=ゆるみの肢位
屈曲…45-50°制限因子:項靭帯、棘間靭帯
伸展…75-80°制限因子:椎間関節(棘突起)の近接
全体の20-25%は環椎後頭関節、環軸関節で行われる。
関節包内運動
・環椎後頭関節
凸面の後頭窩と凹面の関節面の転がりとわずかな滑り
・環軸関節
屈曲時環椎の前傾、伸展時後傾する
・C2-7
屈曲時、上位椎体が下位椎体に対し下方へ滑る。伸展時は上方へ滑る。
○前方突出と後退
骨運動
前方突出では下位から中位頸椎は屈曲し、上位は伸展する。
後退では下位、中位頸椎は伸展し、上位は屈曲する。
運動学
○水平面
体軸回旋
骨運動
・全可動域130-150°
・約半分は環軸関節が行う。それ以外はC2-7
関節包内運動
環軸関節
・歯突起の周りと環椎、横靭帯で回旋する。片側に35-40°回旋する
制限因子:対側の翼状靭帯、外側環椎関節の関節包
限界まで回旋していくと、椎骨動脈が引っ張られる。
C2-7
・同側の下関節面が後、やや下方へ滑る
対側は下関節面が前、やや上方へ滑る
○前額面
側屈
骨運動
・左右それぞれ35-40°
・環椎後頭関節5°、C2-7で30-30°
関節包内運動
環椎後頭関節
・少量の転がりと反対方向への滑り
C2-7
・側屈側の下関節面がやや下かつ後方
・反対側がやや上かつ前方
○側屈と体軸回旋のカップリング
カップリング…脊椎の運動には無意識的な運動が伴っている。パターンは不明確
頭頚部にはパターンが存在
・中-下位頸椎…同側型のカップリング 例)右側屈+右回旋が起きる
・上位頸椎(環椎後頭関節、環軸関節)…対側型のカップリング
動作評価、触診においてこれらの機能を把握しておく必要がある。
なぜカップリングが起きるのかを考えていきたい。筋の作用については今後まとめていきます